喪主が家族葬を行ううえで、弔問者の参列を断ることはなにも特別なことではありません。
故人の最後の別れですから参列を希望される方も多いでしょう。ですが、家族葬は基本的には家族、親族、一部とても親しかった方で行うものですので、希望されても参列を断らざるを得ません。
今回は、
- 【喪主側】家族葬参列の断り方について
- 【参列者側】家族葬の案内を受けたけれども、参列できない場合の香典について
この2つについてお伝えします。
【喪主側】家族葬参列の断り方
参列して頂かない方には、葬儀が終わるまで知らせないという方法が一般的です。
しかし、故人の余命がわずかであることや、闘病生活にあることを知っていて、気にして連絡をとってくださっていた友人や知人に対しては、あらかじめ訃報と家族葬を行うことだけは知らせておいた方がいいでしょう。
以下に電話での連絡と、メールでの連絡について例を挙げておきますので、参考にしてください。
【電話での連絡例】
お忙しいところ、突然のご連絡申し訳ありません。
お世話になっております、○○の娘の○○と申します。本日○時に母が亡くなりました。
通夜、葬儀に関しましては、母の生前の希望で家族のみで行う予定です。
葬儀への参列やご厚意につきましては、故人の遺志により辞退させていただきます。
なお、葬儀後にお知らせをさせて頂く方もいらっしゃいますので、どうぞご内聞にお願いします。
ご不便をおかけしまして申し訳ありません。
一般的に亡くなってから葬儀までに時間はありませんので、書面を送ることはできません。電話が丁寧ですが、通常メール(SNSを含む)でコミュニケーションを取っている間柄ならメールで訃報を知らせても構いません。
【メールでの連絡例】
母○○儀につきまして 八月一七日 六四歳で永眠いたしました
故人が生前賜りましたご厚誼に対し 深く感謝いたします
なお葬儀につきましては 故人の遺志により家族葬にて執り行うことといたしました
恐縮でございますが 参列 香典 供花等の供物 弔電 葬儀後の弔問はご遠慮くださいますようお願いいたします
令和二年十月
喪主住所
喪主氏名
※メールでの連絡例において、『母○○儀』や句読点がないなど、少し違和感を感じられた方もいらっしゃるでしょう。
じつは、家族葬の挨拶状にはいくつかのルールがあり、それを知らないでいると自分だけでなく、故人も恥をかくことになりかねませんので、ぜひ抑えておきましょう。
家族葬の挨拶状を書くときのルールについては、以下の関連記事をご覧ください。
>>>【関連記事】家族葬の挨拶状例文と知っておかなければ恥をかく注意事項
参列したことを内密にしてもらうことも重要
もし、親族以外に参列をしてもらった方がいる場合は、参列したことは口外しないようにお願いしておくようにしましょう。参列したかったのに声がかからなかったということで、険悪な関係になってしまうことを避けるためです。
もちろん、参列を頂かなかった方には葬儀後、家族葬の挨拶文を送付して、故人が亡くなったこと、生前お世話になったことへの感謝を伝えるようにします。
【喪主側】家族葬の参列を断る際の配慮と注意点
はっきり伝える
断るということは参列を望んでいる人に対しては言いにくいものですが、あいまいな表現では、意思の疎通ができないことがあります。
人によって受け取り方が違うと、連絡を受けた人同士も混乱します。
周囲の人が迷うことがないように、参列などを断る際には、ハッキリと端的に伝えるようにします。
会場や日程を伏せる
参列をしてもらう人には家族葬の案内に当然、会場や当日の予定を記載すると思います。
参列を頂かない人宛には必ず別に作成し、お通夜や葬儀の会場についての情報は書きません。いくら参列を辞退する旨の文章があっても、会場等の情報が出ていては、来てしまう人が出てしまいます。
参列を辞退していても弔問された場合はできる限り受け入れる
辞退していても弔問をされる場合もあります。
誤解されていた場合は、受付で一度お断りをすれば理解いただけると思いますが、実際はそうもいきません。
参列を辞退していることを知っていても、どうしても一目会いたくてとお越しいただいた場合は、相手に不快な思いをさせないように、また受付でもめたりしないように、出来る限り受け入れる方がいいでしょう。
【参列者側】家族葬に参列しない場合、香典はどうする?
葬儀へ参列するかどうかにかかわらず、訃報を聞けば香典や供物を渡したいと思う方も多いのではないでしょうか。しかし、訃報連絡の際に香典辞退を記載されていたり、口頭で香典辞退の意思を伝えられた場合に、送ることはマナー違反です。
香典・供花は遺族が辞退している場合は、送ってはいけない
香典を受け取るという事は、香典返しを行わなければならず、遺族の負担を増やすからです。
もちろん、遺族が辞退していなければ送ることができますし、何ら問題はありません。その場合、香典を準備する際のマナー(香典袋の種類等)は一般葬と変わりませんので、マナー違反にならないよう準備をしましょう。
家族葬においての香典・供花の渡し方と金額の目安
会場で渡す
家族葬の会場が近くにある場合は、受付で渡して帰ることができます。
郵送する
遠方の場合は郵送しましょう。香典袋だけを送付ではさみしいので、無地の便せんにお悔やみのことばを簡単に書き、現金書留封筒にのし袋と手紙を一緒に入れて送ります。
手紙が1枚の場合はそのまま入れてかまいません。2枚以上の場合は一重の封筒に入れて、現金書留封筒に入れるようにしましょう。
後日弔問して渡す
弔問は早くても葬儀後1週間は空けてからにしましょう。また、喪主に事前に連絡を入れてから訪問することも忘れないように。
弔問はグレーや紺など地味めな色の平服で伺います。その際、お返しするほどでもないお線香やお菓子などを供物として持参することがマナーです。
香典の金額は?
香典の金額がいくらくらいかは迷うところです。家族葬だから、一般葬だからということでの金額の違いはありません。故人との関係性で変わってきます。血縁関係が濃いほど香典の額は上がります。
【金額の目安】
- 親 3~10万
- 祖父母 1~5万
- 兄弟姉妹 3~5万
- 叔父・叔母 1~3万
- 友人5千~1万
- 職場の関係 5千~1万
家族葬に弔電は送れる?
家族葬では参列や香典・供花を辞退する遺族は多いですが、辞退をしていても弔電は返礼品が必要ありませんので送ることができます。
まとめ
喪主側も参列者側のいずれも、家族葬には一般葬とは異なるマナーや注意しなくてはならない点があることを理解しなくてはいけません。
動揺したり、短い時間で様々なことに対処しなくてはいけない葬儀ですが、お互いの気持ちを考えて慎重に対応することが必要です。
故人と関係のあった人からすれば、家族葬に参列したい気持ちはよく分かりますが、喪主・故人の希望として家族葬を選ばれたということを尊重してあげてください。
また、喪主側もそういった方たちの気持ちを汲んだうえで、家族葬の挨拶状に感謝の気持ちを込めることを忘れないようにしていただきたいと思います。
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