水揚げされたマグロは、その鮮度を保つために、遠洋漁船で‐60℃の超低温冷凍庫にて冷凍保存され、スーパーなどに出荷され、私たちの食卓に並びます。
しかし、スーパーなどで購入されたマグロは、家庭用冷凍庫に保存されることで、せっかくの鮮度が台無しに!
理由は、家庭用冷凍庫が‐15℃程度でしか冷凍保存できないためです。
そのため、購入したマグロを美味しくいただくには、なるべく早く食べることが必要です。
ですが、「なるべく早く!」と言われても、「その日のうち」なのか?「1週間程度は大丈夫」なのか?迷ってしまいますよね。
さらに、冷凍マグロの解凍方法でもその美味しさに大きな差が出ます。一番多い失敗が『自然解凍』してしまうこと。これだけはやってはいけませんよ!
今回は冷凍マグロを美味しくいただくための、ちょっとした解凍テクニックと解凍時間、解凍後の保存期間などについてまとめましたので参考にしてください。
冷凍マグロを美味しくする3つの解凍方法
温塩水解凍で冷凍マグロを美味しくいただく
温塩水解凍は、新鮮なまま真空パックされている冷凍マグロを解凍する方法です。
30~40℃の温水1リットルに対し、食塩大さじ2杯を溶かすだけ!
温塩水解凍でマグロブロックを解凍する
- ブロック全体を約4~5分間、温塩水につける
この状態では表面は溶けて中心はまだ凍っている半解凍の状態です。 - きれいなふきんかキッチンタオルで十分に水気をふき取る
- ふき取ったふきんをよくすすぎ、固くしぼってマグロブロックを包む
- 冷蔵庫の下段で60分~90分間解凍する
冷蔵庫の上段だと冷気が強いため、なかなか解凍できないので注意。
温塩水解凍でマグロサクを解凍する
今回用意したのはキハダマグロサクです。(マグロよりも色が薄いです)
【1】カチンコチンに凍っているこのマグロサクを約3分間温塩水に浸けます。
写真では分かりにくいですが、温塩水に全体が浸かっています。
くれぐれも温度は30~40℃くらいにしましょうね!それ以上の温度になると表面が白っぽくなってしまいます。(茹で上がった状態になる)
この時点で、温塩水が浸透して、魚の臭みが出てくるのが分かります。なお、塩の辛みが気になるという方は、一度真水で洗ってみてください。
3分間浸けた後がこんな状態です。
表面は解凍できたように見えますが、中身はまだカチンコチンに凍っています。
【2】次にきれいなふきんで水気をふき取ります。
今回はキッチンペーパーで水気をふき取りました。
乾燥するとキッチンペーパーがマグロにくっついてしまいますので、なるべくふきんで行うようにしてください。(今回は実験的にキッチンペーパーにしたまでです)
【3】ふき取ったふきんをよくすすぎ、固くしぼってマグロサクを包む。
ここでもふきんではなく、キッチンペーパーで包んでみました。
【4】冷蔵庫の下段で60分間解凍する。
冷蔵庫での解凍は状況を見るようにしましょう。マグロの大きさによっては3時間くらい必要な場合もあります。ただし、寝かせすぎるとマグロの色が黒くなってきますので、注意してください。
魚の臭みもなく、良い感じに仕上がりました。
中身までキチンと解凍できていて、美味しくいただけました。
安物のキハダマグロで実験しましたので、ちょっと色合いが悪いかも知れませんが(笑)美味しかったですよ!
冷蔵庫解凍で冷凍マグロを美味しくいただく
- 販売時に乗せられている吸水紙の上に乗せたままラップをかけ、冷蔵庫内で3~4時間寝かせ解凍する
- 冷蔵庫内の解凍具合をチェックし、指でやさしく押して弾力を感じるくらいの半解凍で一度冷蔵庫から出す
- マグロが半解凍になった時点で切り分ける
- 完全に解凍されるまで冷蔵庫で再度寝かせる
氷水解凍で冷凍マグロを美味しくいただく
- ボールに粗塩と水道水で塩水を作る
粗塩がなければ精製塩でもOK。海水より少し薄いくらいのしょっぱさがいいですね。この塩分は解凍されたとき塩っぽさになりますので、あまり濃いのはおすすめしません - 塩水で冷凍マグロを洗う
- ざっと洗ったら、ふきんで水分をふき取る
- 冷凍マグロをそのままジップロックに入れて、ジップロックごと氷水に1時間ほど浸す
マグロにラップをする必要はありません。ジップロックはなるべく空気を押し出し、しっかりと口を閉めるようにしましょう。氷水に浮いてしまう場合は、重しをつけて沈むようにしてください。 - 半解凍になったら(半解凍については上の冷蔵庫解凍の2をチェック!)切り分ける
- 完全に解凍されるまでキッチンペーパーを乗せたお皿の上にマグロを置き、ラップをして冷蔵庫内で半日~1日寝かせる
ここで寝かせるとマグロの身が熟成して旨みが増します。
解凍でマグロが縮れてしまった場合の対処法
遠洋のマグロ漁船では船内で急速冷凍するため、獲れたての鮮度をそのまま保っていますが、まれに死後硬直前に凍結が完了してしまうことがあります。その場合、解凍後に硬直を起こしてしまうということが起こります。
硬直を起こすと身が縮れてしまいますが、これは生きていた証でそれだけ新鮮だということです。
【解凍した中身が縮れたり歪んできた場合の対処法】
- 解凍作業をやめる
- 水分をふき取りふきんで包み、約30分程度室温で解凍する
- その後冷蔵庫の下段でゆっくりと完全に解凍する
縮れが発生した場合は、すぐに上記の対処をしましょう。
身が縮れたまま解凍を続けたマグロを食べても美味しくありません。身はごわごわして固く、さらに未成熟なので旨味が少なくオススメできません。
慣れていないと縮れに気が付かない場合もあるので、食べてみて「身が固く美味しくない」と感じた場合は、解凍したマグロを半日から1日、冷蔵庫で寝かせるようにしましょう。
冷凍マグロ・解凍マグロの保存方法
冷凍マグロの保存方法
生食用の冷凍マグロは温度管理が非常に難しいです。
-3~7℃で変色してしまいますので、家庭用の冷凍庫での品質保持は1週間が限界です。それを超えると変色と味の劣化が始まってしまいます。
それでも少しでも長く冷凍をしておきたい場合は、なるべく温度が変わらないように冷凍庫でも奥の方へ入れておいてください。入口近くは冷凍庫の開け閉めで温度が変わってしまいますよ。
解凍後のマグロの保存
解凍したマグロは乾かないようにラップをかけて冷蔵庫で保存します。ブロック等の場合は食べる分だけ切るようにしてください。なるべく空気に触れさせないことが重要です。
一旦解凍したマグロは、色が悪くなりガクッっと味が落ちますので、一度解凍したら再冷凍は絶対しないようにしましょう。冷蔵庫でも2~3日は保存できますのでそこで食べきってください。
まとめ
冷凍マグロの解凍は、難しくも面倒でもないですが、時間が少しかかりますよね。慌てて解凍するとせっかくのマグロが美味しくなくなってしまうので、食べる時間から逆算して余裕を持ってマグロを解凍してください。
解凍し、全部食べ切れない場合は固まりのまま保存し、食べるときに食べる分だけ切る。また、1日で全部食べきる場合は半解凍の時に全部切る(その方が切りやすい!)といいですよ。
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