美容や健康に効果が認められているスーパーフード『モロヘイヤ』。
確かにモロヘイヤにはたくさんの栄養素が含まれていますが、一方で強い毒素ももっています。スーパーで売っている野菜に毒性があるというのは不安ですね。どのように注意しなくてはならないのか調べてみました。
モロヘイヤの新芽には毒がある
モロヘイヤには強心配糖体(強心作用のある成分)ストロファンチジンが含まれ、身体に有害であることが知られています。誤って摂取をすると、少量でもめまいや嘔吐などの中毒を起こすので、絶対食べてはいけません。
このモロヘイヤの強心配糖体は成熟した種子に最も多く含まれますが、発芽からしばらくまでの若葉や成熟中の種子、成熟種子のさやなどにも含まれます。種子は見ればすぐわかりますが、毒性のある若葉はどのように見分けることができるのでしょうか?
まず、寒さに弱いモロヘイヤは春先から種や苗を植えることができます。収穫は草丈が50~60センチまで成長した頃に可能で、若葉の先端約10~20センチの部分を摘み取って収穫します。手で簡単に折ることができる状態が1番おいしい時期とされています。
収穫できなくなる合図は花が開花した時です。
開花してからは茎にも毒性が集まり出し、さやがつき始めますので、食用には向きません。
毒性があるかないかの見分け方は草丈の育ち具合となります。50センチほど育つまでには種まきから約4か月と言われていますので目安にしてください。
モロヘイヤに毒があるのは新芽だけではない!
モロヘイヤは若葉だけでなく、成熟中の種子、成熟種子の鞘(さや)の部分にも毒性が含まれています。
毒性が含まれている食べてはいけない部分をまとめると、
- 種子
- 実
- 茎
- 発芽してから収穫期に入るまでの若葉
以上となります。
基本的にスーパーで販売しているモロヘイヤは若葉の部分ですが、7~10月の収穫期を迎えたものなので毒性はありません。市販のものなら茎も葉も大丈夫です。
また、加工食品などからも検出はされません。
モロヘイヤに毒があると知られることになったきっかけ
では、なぜモロヘイヤには毒があると知られるようになったのでしょうか?
それは平成8年に起きた家畜の死亡事故が原因です。
家畜の牛が実の付いたモロヘイヤを食べて、5頭のうち3頭が死亡してしまいました。その後牛が食べたモロヘイヤを調べると『ストロファンチジン』が見つかったというわけです。
さらに平成25年には、北海道に住む女性が家庭菜園で育てていたモロヘイヤを食べて中毒症状を発症するという事故が起こりました。
この女性が食べた家庭菜園のモロヘイヤは、すでに花を咲かせて葉が硬くなっていたとのことです。
「このまま放置すると食べられなくなるかもしれない」と心配した女性は、その中でも比較的柔らかい葉を選び、茎からカット。おひたしにして1口食べてみたというのです。2口目のおひたしは違和感を覚え吐き出したのですが、その数分後、心臓の鼓動が激しくなり座ってもいられなくなり、全身から汗が吹き出し搬送されました。
モロヘイヤの毒の主な成分はオリトリサイド。これはフグの毒にも匹敵するほどの猛毒です。心拍を異常に活発にするだけでなく、胃腸のぜんどう運動を活発化します。その結果、動悸・吐き気・異常な発汗、そして最悪な場合は心不全を起こすこともあるものです。
この女性の場合は花が咲いたあとのモロヘイヤを食べてしまったということで、最も毒の濃度が高く危険な状態だったというわけです。ほんの1口食べただけだったので、3時間ほどで正常な状態に戻れましたが、それ以上口にしていたとしたら・・・想像しただけでも冷や汗が出ますね。
北海道の女性の場合もそうでうすが、毒性に気を付けなくてはいけないのは家庭菜園の場合です。
収穫期の葉や茎は基本的に安全ですが、収穫時期が遅れた葉や茎には毒性が含まれている可能性があります。また家庭菜園の場合は、さやと種が混ざると大変危険です。
絶対に食べないようにしなくてはいけませんので、収穫の時から気をつけてください。
家庭菜園のモロヘイヤは下処理をすれば安全に食べられます
まずは、収穫時期を守ることです。開花後は食べない!
次に、きちんとした下処理をすることです。
【モロヘイヤの下処理方法】
- モロヘイヤをさっと洗ってから茎についた葉っぱをちぎる。
※穂先の葉っぱも付け根からちぎります。この段階でゆで時間が違うので、茎だけ、葉っぱだけの状態に分けておきます。 - 食べられる茎の部分を切り取る。
目安は茎の穂先側の3分の2くらいです。見分け方は筋が硬い部分は包丁で切ろうとしてもとても切りづらいくらい硬いので、そこから先が食べられると思ってください。 - モロヘイヤを茹でる。
食べられる部分が切り出せたら、たっぷりのお湯に塩気を感じるくらいの多めの塩を入れ、モロヘイヤを茹でます。茎が1分。葉っぱは20秒ほど茹でます。 - 冷水で冷ます。
茹で上がったらザルに上げて、冷水で冷まします。冷ましたら水を切れば下処理の完了です。
それでも万が一、毒があるモロヘイヤを食べてしまったとしたら、下痢や嘔吐を無理に止めないようにしましょう。ただし、下痢や嘔吐は体内の水分が失われやすいので、こまめに水分補給をすることが重要です。
また、呼吸困難など症状が重い場合は、ためらうことなく救急車を呼ぶか、救急外来へ行くなど早めの対応をしましょう!
モロヘイヤの赤い茎に毒性はない
家庭菜園でモロヘイヤを育てていると、茎の部分が赤くなることがあります。
緑のモロヘイヤが急に赤くなると毒があるのでは?と心配になると思いますが、モロヘイヤの赤い部分に毒性はありませんのでご安心を。
モロヘイヤは肥料が足りないと栄養不足で茎が赤くなってしまうようです。
家庭菜園などでモロヘイヤを育てる際は、しっかり肥料を与えて栽培していれば赤くなることはありません。
栄養不足になったモロヘイヤは葉のみずみずしさもなくなり、茎も固くなって味も落ちてきます。
家庭菜園で育てる際には栄養不足とならないよう肥料の量には気を配ってください。
モロヘイヤは生で食べることができる
モロヘイヤは必ず下処理をしなければならないのでしょうか?
生で食べることはできないのでしょうか?
モロヘイヤは生で食べても大丈夫です!
ただ、あまり頻繁に生で食べない方がいいです。
モロヘイヤにはほうれん草と同じアクの元のシュウ酸という物質が多く含まれています。シュウ酸はカルシウムなどとくっついて結晶となり、尿道結石の原因となってしまうのです。
毒性の危険とは違いますが、モロヘイヤには思わぬところに注意点がありました!
もちろん、結石になるのは生で毎日毎日大量に食べた場合なので、普通にサラダに混ぜて食べる程度に問題はありません。ただ、元々結石に悩んでいる人は少しであっても控えた方がいいかもしれませんね。
このシュウ酸ですが、水溶性なので茹でることで半分程度減らすことができます。
さらに、カルシウムと一緒に食べると身体にシュウ酸が吸収されるのを防いでくれます。
カルシウムは腸の中でシュウ酸とくっついて結晶化するため、腸でシュウ酸が吸収されず結晶が排泄物として対外に出てくれるからです。
よって、下処理をし、さらにカルシウムの多いゴマや小魚、かつお節などと一緒に食べることで結石を予防することができます。
モロヘイヤの毒対策だけでなく、結石予防にもなるべく下処理してから食べることをおすすめします。
まとめ
モロヘイヤは収穫時期を守り、処理をしっかりすればとても体にいい野菜です。お味噌汁に入れたり、お浸しにしたり、色々な食事に活用ができます。
家庭菜園で作ることも可能ですが収穫時は注意が必要です。
しっかり確認してから食べてくださいね。
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