近年、待機児童問題が深刻になる一方、もう少し子育てにゆとりを持ちたいなど、様々な理由から意図的に保育園に落ちて、育児休暇の延長を得ようと考える家庭が少なくありません。
しかし、うまく保育園に落ちたとしても、その意図は職場にバレることが多いので注意が必要です。
これからもお世話になる職場ですから、印象が悪くなることは避けたいですよね。
そこで今回は、保育園にわざと落ちるとバレる理由についてご紹介します。
保育園にわざと落ちるとバレる!
保育園にわざと落ちた場合は、その意図が職場にバレる可能性が高いです。
育休を延長するにはいくつかの書類が必要になるのですが、その書類の内容によって保育園に本気で入園したいかどうか?が分かってしまうからです。
本気で入園を希望するのであれば、できる限りたくさんの保育園に入園希望を出すはずですよね?
ところが、保育園にわざと落ちることを考えている人はというと・・・
- 入園希望の保育園数を極端に少なくする
- 人気のある激戦区にある保育園にしか入園希望を出さない
こういったことを考えます。
しかし、残念ながらこの考えは勤務先に簡単にバレてしまいます。
入園希望の保育園数が少ないとバレる
育休延長申請時に勤務先から提出を求められる『不承諾通知』『保育所入所保留通知書』といった書類に、『どの保育園に入園希望を出したのか?』が記されているため、入園を希望する保育園数が少ないと、「この人は育児休暇を延長するために子供を入園させるつもりがない」と判断されかねませんので注意が必要です。
もちろん、どうしても入りたい保育園が決まっていたり、こだわりを持ちたい場合は仕方ありませんが・・・職場としては、できれば早めに復帰してほしいと考えていることが多いので、不承諾通知に1箇所の希望しか無ければ不信感につながりかねませんので、くれぐれも注意するようにしましょう。
入園希望申請日が子供の誕生日当日以降だとバレる
不承諾通知書に入園を希望する保育園名の記載がないのであれば、勤め先にはバレにくいと思われますが、さらに入園申請時の日付の記載にも注意してください。
入園希望申請は、子供の1歳の誕生日前日までにすることが必須となっています。
そのため、入園希望申請日が子供の誕生日当日以降だった場合、「この人は子供を入園させる気がない」と判断されます。
当然、不承諾通知書に入園申請日は記載されていますから、それをもって育休延長を申し込んだところで却下となります。
入園の内定取り消しでバレる
なかには育休延長を狙って、保育園入園の内定を辞退するという強者もいます。
ただしその目論みはもろくも崩れ去ってしまいます。
というのも、入園の内定を辞退した場合は、不承諾通知書が発行されないからです。
つまり、自ら辞退した場合は原則、育休を延長することができません。
ただし、『やむを得ない理由』があると認められた場合には、育休を延長することができます。
育休申請するために必要になる書類は、自治体や勤め先によって変わってくるので、事前にしっかり調べておくことが大事です。
企業によっては、育休延長を申請する際に、書類や理由を求められないところもあります。
育休を延長したいのであれば、わざと保育園に落ちるのではなく、その理由をしっかり話し合って伝えられる環境であると、お互い気持ちよく過ごせますね。
保育園にわざと落ちても育児休業給付金の延長は認められます
育児給付金の受給期間は、保育園に入所できない等の条件を満たせば、子供の1歳6か月の誕生日まで、その後も条件を満たしていれば、2歳の誕生日まで延長することができます。
つまり、『1歳になるまでに保育園に入れたかったが無理だったとき』ということになります。
この場合は、保育園に落ちたことを証明する『不承諾通知書』などの書類を提出すれば、育休と共に育児給付金期間も延長できます。
ここで気になるのが、保育園にわざと落ちた場合、育児給付金の受給期間の延長がどうなるのか?ということ。
仮に入園を希望する保育園を1つしか書かなかった場合であっても、上記条件を満たしていることになるので、育児休業給付金の延長は認められます。
ただし、育休同様、自ら辞退して入園しなかった時は、不承諾通知書が発行されないので、育児給付金の受給期間延長はできなくなります。
補足:育児給付金について
この育児給付金の支給を受けるためには、いくつかの条件があります。
また、育児給付金は給付額が定められています。
その計算方法は・・・
労働者の育児休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)の67%
(育児休業の開始から6ヶ月経過後は50%)となります。
ここでいう、育児休業開始時賃金日額とは、勤務先の提出する「休業開始時賃金月額証明書」にある金額の休業開始前の6ヶ月の賃金を180(6ヶ月×30日)で割った金額です。
つまり、簡単に言うと、自分の1日当たりの給与の67%というわけです。
仕事をしていなくても、これだけの手当がもらえれば生活は助かりますよね。
なぜ保育園にわざと落ちようとする人がいるのか?
なかなか解消されない待機児童問題が深刻になる一方で、どうしてわざと落ちたいと願う人がいるのでしょうか。
それは、我が子の成長を傍で見守りたい親心や、職場復帰後の過酷な生活を想像することで生まれる心情からなるのです。
育休が明けて子供を保育園に預けるのは1歳くらいからですよね。
個人差はありますが、その時点ではまだしっかり歩けなかったり、母乳を飲んでいる子供も多いでしょう。
また、言葉もあまり理解できていないし、後追いがひどければママやパパの姿が見えなくなるだけで泣いてしまう子もいます。
そんな状態で、子供を一人保育園に預けることに不安を抱く親御さんが多いのです。
これからいろんなことができるようになるのに、その『初めて』を自分の前ではなく、保育園で済ませてしまったとしたら・・・それまでずっと一緒だった可愛い我が子の成長が見られなくなることは悲しいことですよね。
また、もし復帰したとしても、これまでとは別次元の大変さが待ち受けています。
時短勤務だとしても17時にお迎え、帰宅後に急いでご飯を作り、食べさせて、お風呂に入れて服を着せる。思い通りに寝かしつけることができない夜も多いでしょう。
やっと子供が寝たと思ったら、洗い物、洗濯、次の日の保育園の準備、帰宅した夫のご飯、次の日のお弁当の下ごしらえ…など、怒涛の家事が待っています。
全て片づけて寝床についたとたん始まる夜泣き。
明日も朝から仕事なのに今日も寝不足。
これでは、身体がもちませんよね。
子供が2歳くらいになると、一人で歩けるようになり、言葉も少しずつ理解できるようになります。
また、授乳も終わり、夜もまとまって寝てくれるようになるので、夜泣きの頻度も減ってくるでしょう。
その時はその時で、イヤイヤ期などの新たな大変さも出てきますが、1歳前後よりは育児が楽になってくることがほとんどです。
このため、1歳の育休が終わってももう少し休みたい・・・と思う人が多いのです。
しかし実際、わざと保育園に落ちようとすることで、本来入れるばずだった子供が入れなくなったり、内定先が変わったりなどの影響はあります。
不承諾通知書が必要という理由で、本当に保育園に入れたいという家庭が募集から溢れてしまうのは悲しいことですよね。
それを受けて、厚生労働省は、申し込みの際に保護者側が入園への意思表示を確認するチェック欄を設ける方針のようです。
2022年度の募集を目処に、自治体へ通達を出す見込みです。
これが承認されれば、切実に保育園に入りたい家庭が優先されるのではないでしょうか。
しかしそうなると、育休を申請するために不承諾通知書が必要だという条件自体にも疑問が出てきます。
申込者が増えると役所の仕事や手間も増えることになるので、無条件に育休延長が申請できる世の中になれば良いのに・・・という淡い考えが浮かぶのは私だけでしょうか。
まとめ
さまざまな理由から、育休や育児給付金受給期間を延長しようとする動きは増えています。
確かに、幼い子供を抱えながら仕事をするのは大変なことです。しかしその影響で、本当に保育園に入りたい人が入れないこともあるのが現状です。
わざと落ちても、育休や育児給付金は延長できますが、場合によっては勤め先に不信感を抱かれることも少なくありません。
復職後にスムーズに仕事をするためにも、もし保育園に受かった際には、できるだけ辞退せずに入所を決めて復職を目指しましょう。
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